震災復興・原発事故の解決と震災がれき処理について
2012年4月7日 日本共産党京都府委員会
3・11東日本大震災・原発事故から1年余り、原発ゼロの政治決断の重要性とともに大きく遅れている震災復興と原発事故の解決が急務の課題となっています。
そのなかで、大量の震災がれきの処理の問題が焦点の一つとなっています。日本共産党は、3月18日付けの「しんぶん赤旗」主張で「がれきの『広域処理』政府が責任持った方策を」との見解を明らかにしました。京都府委員会は、この問題をどう考え、京都での地方議会でどんな判断と態度をとってきたのか、本資料で紹介します。
被災地の震災がれきの実態と処理の現状は・・
現在、広域処理の対象とされている宮城県、岩手県の場合、震災がれきの推計量(昨年末)は、宮城県で1569万トン、同県の一般廃棄物の約19年分に相当、岩手県で476万トン、同県の11年分に相当します。しかも、こうした震災がれきの量はふえ続けており、仮置き場への搬入量がすべてのがれきの4割から5割程度にとどまっている自治体もあります(宮城県は県全体で仮置き場への搬入量がまだ65%にとどまっている)。
災害が甚大だった沿岸部では平野部が少ないなどの地形的な問題や仮置き場の確保すら困難なうえに中間処理施設や焼却施設、最終処分場などの不足も顕著です。家屋の解体には所有者の意思確認をおこないつつの作業であることや浸水した農地のがれき処理は重機作業が困難であること、被災自治体の職員は、膨大な業務におわれていることなど、いくつもの困難が重なりあっています。
現状では、膨大ながれきの存在が復興作業の大きな妨げとなっています。
ところが、政府と県の態度と対応に大きな問題があり、がれき処理を遅らせています。政府と県はがれき処理に責任をもつどころか、多くのところで大手ゼネコンに一括発注し、各自治体や住民の理解を得られず、ゼネコンも最終的な責任を負わず事業の進展を遅らせています。
また、福島原発事故による放射性物質の拡散が東日本全域におよんでいるにもかかわらず、政府が放射性物質への対策を真剣におこなっていないことは重大です。政府は、特別に管理が必要な指定廃棄物は、セシウム134とセシウム137の濃度の合計で、1キログラムあたり8000ベクレル以上のものと定めています。これ以下のものは一般廃棄物と同様の扱いとされ、まともな対策が講じられず、そのことから様々な不安がだされています。
甚大な被害をうけた陸前高田市の戸羽市長は「被災地がれきの全体量が減少していくことで、復興のスピードは速まりますし、なによりも被災者の方々に元気をあたえることになると思います。したがって、私個人としてもがれきを引き受けていただけるところがあれば、どこの被災地のがれきでもかまいませんので処理をお願いしたいと考えています。私も2人の息子の親として、子育てされている方々や妊婦さんの心配もわかります。ですから基準をさらに厳しくして、本当に安全が確認されたがれきを限定で処理をしていただきたいと思っています」(3月14日)と発言しています。この発言は、被災地住民の思いも踏まえた問題解決の方向という点でも納得のいくものです
がれき処理の問題解決にあたって
こうした現状をふまえ、震災がれき処理が急がれます。京都府委員会は、次の見解と方針を基本にとりくんでいます。
第1に、国の責任の明確化と国ががれき処理の方策を責任をもって進めるべきです。
第2に、がれきの処理を迅速にすすめるうえでは、被災地での処理能力の大幅な強化をはかるとともに、被災県以外の協力も不可欠です。被災地県以外の協力をえて「広域処理」が必要です。
第3に、福島原発事故による放射性物質の拡散は広範囲に及んでおり真剣な対策が求められます。また、原発事故による放射能に汚染された物質は厳重に管理し、その拡散は抑える必要があります。したがって、廃棄物の放射性物質の基準と防護対策を抜本的に強化するとともに、政府が直接処理にかかわり、焼却灰の最終処分・管理、汚染拡大の防止、処理の各段階での放射能レベルの測定と結果の公開、安全確保のためのルールづくりなどに責任をもつつとともに、自治体への財政面を含む支援をおこなうことが必要です。
第4に、自治体が実際に受け入れるにあたっては、処理の各段階での放射能レベルの測定と結果の公表を国に求めるとともに、「通常の廃棄物」(各自治体の通常の廃棄物と同等ないし以下の放射性レベル)と判断される震災がれきに限り、かつ広く住民の合意を前提にします。(続く→)