安倍内閣発足後最初の通常国会が始まりました。
安倍さんは、「景気」・経済に所信表明の多くの時間をさく一方で、持論の「改憲」についてひと言も語りませんでした。しかし、各党代表質問を通じて、安倍内閣の危険な改憲姿勢と、憲法をめぐる政党対決の構図が浮き彫りになりました。
《「改憲」迫った自民・維新》
まず、「改憲」を煽り、迫った2つの政党の質問は見過ごすことができません。
自民党・中曽根弘文参院会長は、「国防軍創設」など、総選挙で自民党が訴えた改憲案の是非をたずねました。これを、首相は「21世紀にふさわしいあるべき憲法の姿」を示したものと答弁しました。
維新の会の平沼赳夫国会議員団代表は、日本国憲法を廃止(「廃憲 」)して、新しく一から憲法を作り直せと求めました。首相はさすがにこれには同調しませんでしたが、国会の改憲発議のハードルを衆・参の3分の2から2分の1に引き下げる「96条改定」から手をつけると、改憲への意欲を示しました。
《安倍首相を追いつめた「オール沖縄」の声と志位質問》
国会では、他方で、憲法と平和を守る2つの大きな動き、論戦がありました。
まず、開会日に沖縄県41全市町村の首長、議会議長、県議など144人が上京し、「オスプレイ配備撤回」「普天間基地閉鎖」を求める「建白書」を政府に突きつけ、その後東京都内をデモ行進しました。まさにこれは「オール沖縄」の声であり、昨年末の総選挙で当選した沖縄の4人の自民党衆議院議員も、全員がこの声を公約として訴えたのです。
もう一つ、日本共産党の志位委員長の質問が光りました。
安倍さんは、「強制性を示す文書が発見できない限り、『慰安婦問題』は存在しない」という立場で、かつて日本政府として強制性を認め、公式に謝罪したいわゆる「河野談話」を否定しようと企んできました。
志位委員長は、「文書は見つからなかったが、『慰安婦』とされた多くの女性の証言の真実性から事実と認定した」という、「河野談話」当時の石原信雄官房副長官の証言を引用し、「文書がないから強制はなかった」という議論は成り立たないと追及しました。これに対して、安倍首相は、次のように答弁しました。
「慰安婦問題」について、「筆舌に尽くしがたいつらい思いをされた方々のことを思い、非常に心が痛みます。この点についての思いは歴代総理と代わりません。また、私としてはこの問題を政治問題、外交問題化させるべきではないと考えています」。
《侵略戦争の反省こそ日本がとるべき道。力合わせて憲法守ろう》
安倍首相は志位委員長の質問を否定できず、「官房長官による対応が適当」と逃げるのが精一杯でした。これは、ロイター通信社、韓国の有力紙が速報で報ずるなど、世界が注目する論戦となりました。
侵略戦争の反省は、日本国憲法の土台であり、大前提です。この土台を壊したら、日本は世界で生きてゆけません。日本の企業も、その立場に立ってこそ中国をはじめアジアで安心して経済活動ができます。侵略と植民地支配の真摯な反省があってこそ、「尖閣問題」でも中国に対して堂々と主張できます。志位質問に、安倍さんが持論を封印せざるを得なかったのは、それが日本国憲法の下での総理大臣としてはおよそ言うことができない、世界で通用しない暴論だということを証明したものです。現に、1月末に、アメリカのニューヨーク州議会で「20万人の女性が軍に強制された売春」だとして、日本政府を批判する決議があがったのです。
「改憲を煽った自民・維新対改憲のための侵略戦争正当化論を打ち破った日本共産党」。国会の入口で、政党間のこの対立軸がはっきり浮かび上がりました。
とはいえ、自民党は、総選挙で大宣伝した改憲草案を引っ込めたわけではありません。「天皇を元首に」「自衛隊を国防軍に」「アメリカとともに戦争する集団的自衛権を認める」。これらが自民党の草案です。
そもそも、総選挙で自民党に投票された方は、「天皇元首化」や「国防軍」や「集団的自衛権行使」に賛成したのでしょうか?私は、そうではないと思います。日本共産党は、憲法をめぐる国民的議論を呼びかけ、この前の選挙で自民党に投票された方々も含め、党派の違いを超えて共同し、憲法を守るために力をつくします。
憲法を変えるのか、守るのか。その当面最大の正念場が夏の参議院選挙です。比例代表では全国どこでも日本共産党。「改憲か憲法擁護か」の2つにひとつの選択が問われるもとで、定数2の京都選挙区では、予想される立候補の顔ぶれの中で、憲法を守る立場が鮮明なのは、日本共産党の倉林明子だけです。みなさんの大きなご支援をお願いします。
(2013年2月5日)