5月16日、佛教大学で開かれた講演会・「THINK OF 憲法」に、300名を超える学生が参加したそうです。主催は、「佛大9条の会」。大学当局も後援しました。
「憲法って何?」「今の憲法って時代に合わないの?」「憲法が変わるとどうなるの?」という学生の率直な疑問に答えることをテーマに、「講師はぜひ若手弁護士を」という学生の要望に応えて、今年弁護士登録したばかりの尾崎彰俊弁護士(京都第一法律事務所)が講演され、大好評だったそうです。
私が、党府委員会ホームページのこの欄に、そのときどきのテーマを決めて憲法についての一文を載せることにした動機は、「若い皆さんに、日々起こっている問題を通じて憲法を考えてもらいたい」との思いからでした。
私のような60才以上の人間は、「憲法学習」と言えば、「憲法をめぐる情勢の学習」をイメージする人が多い。「憲法前文や9条、25条など、大切な中身は分かっている」「だから学習するとしたら、『改憲派がどんな主張をしているのか』『護憲のためにどんな運動をするのか』が憲法学習のテーマ」と思いがちです。つまり、やや荒っぽく言えば、「日本国憲法が危ない」「どうすれば改憲派の攻撃から憲法を守れるか」「護憲のためにみんな立ちあがれ」式の学習です。
もちろん、現に「憲法を変える」と公言する人が総理大臣になり、改憲を公約に掲げる政党が衆議院の3分の2を占めたもとで、憲法をめぐる情勢学習も大切でしょう。しかし、同時に、多くの若い人たちが求めているのは、「憲法って何?」「今の憲法って時代に合わないの?」「憲法が変わるとどうなるの?」という、いわば、日本国憲法の「そもそも論」ではないか?この率直な疑問に応える講演会だったからこそ、300人超の学生が集まったのだと思います。
尾崎さんは、「自由法曹団」に属する弁護士さんです。自由法曹団は、この間、どんな小さな集まりでも、憲法学習に講師を派遣してきました。先日、私は、自由法曹団のベテラン弁護士さんと話す機会がありました。彼は、「安倍さんと橋下さんが『96条からまず変える』と言ってくれたおかげで、期せずして『立憲主義』の原則をはじめとして、日本国憲法学習の国民的運動と討論が始まった」と言いました。
確かに、私も含め、「護憲」の立場に立つ者は、これまで「平和主義」「基本的人権」「国民主権」などの日本国憲法の大原則は、機会あるごとに語ってきました。しかし、「立憲主義」については、それほどには語ってきませんでした。しかし、「権力が国民を縛る」でのではなく、「国民が権力を縛る」という「立憲主義」にこそ、憲法の「そもそも論」の核心がある。改憲派の野望が、逆に、この「そもそも論」の国民的討議と学習をうながしたのです。
佛教大学の「9条の会」も、後援した大学当局も、さすがに教育機関としての面目躍如だと感心し、教えられもしました。
(2013年5月22日)