JCP京都

花のある寺

2005年11月22日掲載

⑦ 「勝持寺」(西京区大原野)

「花の寺」の紅葉

花見んとむれつつ人の
    くるのみぞ
あたらさくらの
  とがにはありける
        西行法師

 通称「花の寺」、天台宗・勝持寺(しょうじじ)は、洛西ニュータウンを抜け、西山連峯の小塩山の麓にあった。西行法師所縁の枝垂れ桜を西行桜と称し、人はこの寺を「花の寺」とよぶようになったとのこと。

 仁王門をくぐり500mほどの竹林に囲まれた山道は、野鳥のさえずりだけが響く、なんとも心地よい寂寥感にあふれている。ほんとうに、小さな山寺で人も少ない。

 「花の寺」の紅葉はみごとであった。今年の紅葉は、いま一つ、と聞いていただけに、いまだ八分とはいえ、しばし言葉を失うものがあった。春と秋。百を越える桜が満開となる春と、山全体を覆う紅葉の秋のコントラストが、他にない特質。いま花は、紅葉の下に、白、赤の山茶花が花とつぼみをたくさんつけていた。

 散策コースはやはり、手前の正法寺から勝持寺へ、山道を抜けて、同じ紅葉のみごとな大原野神社へと。そして、茶店で蕎麦など食し、新たな散策の路へ。この全体がよいと思った。(かわ・たつ)