JCP京都

2005年12月28日掲載

「芭蕉庵」…金福寺を訪ねて

 紅葉の時期、車で混雑を避けた路地道で少し道に迷った。狭い路地をウロウロしていると、突然カメラを持った観光客がゾロゾロ。「どこだろう?」と振り返った時、たった10段足らずの石段と門が妙に印象に残った。そこが金福寺の門前だった

 12月に入って与謝蕪村のことを調べる機会があった。驚いたことにあの金福寺に蕪村の墓があるという。ぜひ訪ねて見ようということで金福寺を訪れた。場所は左京区の一乗寺、有名な下がり松から山手に沿って少し南の方へ下がったあたりだ。

 蕪村を訪ねて入った寺で「芭蕉庵」に出会うとは驚いた。知識の少ない私の頭の中では、蕪村と芭蕉はつながっていなかったのだ。金福寺の「芭蕉庵」を通して、芭蕉と蕪村との深いつながりがあった事をはじめて知った。大きな収穫の日だった。

 小さな寺である。庭園を通りぬけ少し山手の方へ上ったところに「芭蕉庵」があった。さらに少し上がったところに蕪村の墓がある。途中にはここを訪れた高浜虚子の句碑もあった。道すがらの「見晴し所」からは京都市内が一望できる。静かで落ちついた環境のもとに「芭蕉庵」はあった。(和)