第四回街で聞いた声
第五回戦争法案Q&A
連載の二回目です。
今回は戦争法案について具体的に見ていきたいと思います。
政府与党が15日に国会提出した主な法案がこちら。
自衛隊の海外派兵のための恒久法を国際平和支援法として新設。平和安全法制整備法で一括法として10の法改定を行います。
まず、この法律名からしておかしいですよね。これから説明しますがこれらの法律は自衛隊をどんどん海外で武力行使できるようにするものなんですが、それを"平和"とか"安全"とかいう言葉で、なんだか平和な感じの法律に見せようとしています。怒りが止まりません。
さて、いくつか重要な法案を紹介します。
まずは①武力攻撃事態法改定。これには新たに「存立危機事態」を新設し、法律の名前も武力攻撃事態および存立危機事態法にかわります。この「存立危機事態」とは、「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態」のことで、つまり日本が攻撃されていなくても、日本と軍事同盟を結んでいるアメリカなんか攻撃されたときに日本も一緒に反撃しますよってことなんです。アメリカ軍が中東に攻めて行って反撃されたときなんかも日本の政府が「明白な危険」だーって言ってしまえば日本も中東にいってアメリカと一緒に武力の行使をすることになります。いわゆる「集団的自衛権」です。前回お話しした解釈改憲で、従来は日本が直接攻められたときしか認められていなかった武力の行使が、海外でも認められるようになるわけです。どう考えたって違憲です。
次は②国際支援平和法と③周辺事態法改定です。新設される国際平和支援法は、従来「テロ特措法」や「イラク特措法」などのようにそのときどきの国連決議に基づき国会で審議し、自衛隊の海外派兵を決めていたものを、何らかの国連決議があればすぐに自衛隊派兵が出来るようにする海外派兵恒久法です。周辺事態法は日米軍事同盟に基づき米軍との軍事的連携を図るための法律で、これは改定により名前が「重要影響事態法」に変わります。名前の変更から分かるようにこれまで連携の範囲は日本"周辺"とされていたものが、周辺の概念がなくなり、地球の裏側まで米軍と一緒に軍事行動できるようになるというものです。
この二つの法律に共通するものは、従来自衛隊の活動範囲は「後方地域」すなわち「非戦闘地域」に限られていたものが「現に戦闘を行っている現場」でなければ活動出来るようになり、今現在戦場になっていなければ、政府が従来「戦闘地域」と呼んでいたところにも自衛隊が行って活動することになります。この危険性についてはまた次回詳しくお話しします。また、自衛隊の活動内容についても、これまで出来なかった米軍への弾薬の提供、武器の輸送、戦闘行動のために発進準備中の航空機への給油など武力行使と一体不可分な活動が山盛り追加されます。なんじゃこりゃ。
次に④国際平和協力法(PKO法)の大幅改定です。これはPKOに関する法律なんですが、PKOに関係のない「国際連携平和安全活動」が新設され、国連が統括しない人道復興支援活動や安全確保活動にも参加できるようになります。つまり形式上「停戦合意」がなされていれば戦乱が続く危険な地域に自衛隊が行くことになります。さらに、「安全確保業務」や「駆け付け警護」などのこれまでにできなかった危険な活動も追加されています。さらにさらに、これまで自己防護のためにしか武器の使用が出来なかったのですが"任務遂行"のためにも武器が使用できるようになります。まさに殺し殺されるリスクが大幅に高くなるわけです。この危険性についても次回、お話ししたいと思います。
このような法律で"切れ目なく"、いつでもどこでもどんなときも、自衛隊が米軍と一緒に海外で戦争する、これがこの戦争法案の正体です。正気の沙汰とは思えないですね。
次回はこの戦争法案について3つの角度から危険性をお話したいと思います。
それでは!!
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