うたごえとの再会

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916日、府立文化芸術会館に「医療のうたごえ祭典」を聴きにいった。保険医協会で活躍している渡辺賢治先生が実行委員長をされていることや、同僚の整形外科医の松本孝医師が日ごろからうたごえ活動に奮闘していて、今回の祭典の成功に向けても頑張っていることを知っていたので、これはぜひ聴きに行かなければという思いがあった。

祭典は大成功で、会場は座りきれない人たちの熱気に包まれて盛況という言葉がぴったりだった。

京都民医連はもちろん、全国からも民医連の事業所の合唱団が参加していた。きっと忙しい毎日でも、みんなで何とか時間を工面して練習を積み重ねて今日の場に臨んだに違いない。全員の大合唱もよかった。大勢の声が響きあう大音響は、合唱の醍醐味を十分に感じさせてくれた。

 

わたしが感動したのは、お年寄りの方が数人だけで登壇し歌ったうた、震災以降、多くの人たちがその大切さをもう一度確かめあってきた「絆」を歌った合唱を聞いた時だ。歌っているお年寄りの方たちのその後ろには、おそらく送迎をはじめ、暮らしそのものを支えてくれたご家族や介護者の支援が毎日続けられてきたのだろう。

わたしにとってうたごえとは「この勝利ひびけとどろけ」であり、「沖縄を返せ」であり、「心騒ぐ青春の歌」である。わたしの時間は35年前で止まってしまっている。しかし久しぶりにステージの歌を聴いていると、いまなおうたごえが脈々と息づいていることを感じる。ことばのメッセージ性がハーモニーとメロディとともに紡ぎだされるときに人々に感動を与える。詩や小説にないうたごえの意義だろう。おそらく人類の始まりのころから人々は歌を口ずさんでいたのだろう。喜びをつたえ、愛する気持ちを伝え、苦しみを分かち合い、団結の気持ちを高めあうために。(小児科医 O)

 

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