違法営業・迷惑行為 住民に怒り 市も全容つかめず
「民泊」をめぐり日本屈指の観光地、京都市でトラブルが続出、住民に不安が広がっています。「鍵の開け方がわからず、観光客が宿泊施設の前で野宿していた」「違法民泊で看板を出していないため、自分の店が目印に使われた上に、店の住所宛てに利用者の荷物が海外から届いた」。日本共産党京都市会議員団の調査に寄せられた実態は深刻です。
「民泊」は、住宅などを宿泊施設として提供するサービスです。安倍政権は「観光立国」を経済政策、アベノミクスの柱の一つに掲げ、「民泊」を広げるため規制緩和を狙っています。
1年で相談激増
「この1年、『民泊』に関する相談が激増している」と話すのは、日本共産党の山根智史市議です。閑静な住宅街のあちこちに突然、観光客のための宿泊施設が計画・営業されていることに住民から懸念と怒りが噴出しています。
京都市の調査(2016年3月時点)では、「民泊」2702件のうち、旅館業法上の許可を確認できたのは7%の189件、無許可と推測される施設は68・4%の1847件です。
「市も全容をつかんでいない。対応も不十分だ」と山根市議は指摘します。
住環境を守ろうと、町内あげての運動で建設計画の「再検討」や運営管理の改善を勝ち取っているケースもあります。
京阪墨染(すみぞめ)駅(京都市伏見区)は国内外からの観光客でにぎわう伏見稲荷大社近くの京阪伏見稲荷駅から3駅5分。駅から徒歩1分の戸建て住宅が密集する一角に、昨年9月、2階建て1棟貸しタイプの民泊建設が計画されました。
署名やポスター
同じ町内にすでに開業していた他の「民泊」で、宿泊者が深夜に騒ぐなどの問題が発生していたこともあり、住民は一致して計画に反対。町内会が開催を求めた住民説明会には大半の世帯から参加し、意思を伝えました。有志の署名活動や「工事反対」のポスターの張りだしをする中で、運営業者は建設計画の「再検討」を連絡してきました。
同じく墨染駅近くに建設されている30人規模のゲストハウスタイプの施設では、当初、常駐スタッフが配置されない予定でしたが、住民が繰り返し要求し、24時間の常駐体制や協定書の締結を約束させました。
常駐のスタッフがいないことで、火災や病気などの緊急時に対応できない、宿泊者名簿がないことで伝染病が発生した時に感染ルートをたどれないなど、旅行者側からみても「おもてなし」に逆行する事態も考えられます。
日本共産党京都市会議員団は3月に『住民のための「民泊」対応ガイドブック』を発行しました。施設の計画ができた時や迷惑行為があった時の対応方法をわかりやすく解説。あきらめずに一緒に声を上げましょうと呼びかけています。同ハンドブックは、
市議団のホームページで見ることができます。
(「しんぶん赤旗」2017年4月13日付けより)