2017.7.24 (月)
京都市バス・京都バス 一日乗車券 値上げ方針に怒りの声
共産党市議団アンケートビラ 反対意見140通
京都市内の市バス・京都バスの均一運賃区間であれば乗り放題の市バス一日乗車券(500円)について、市が「市バスの混雑緩和」などを理由に、値上げを検討している問題で、日本共産党京都市議団が市民の声を聞くアンケートビラを配布したところ、半月余りで約140通(12日現在)の反対意見が寄せられるなど、値上げに怒りの声が続出していることが分かりました。交通問題の専門家は「公共交通機関のあるべき方向に逆行する」と批判します。市バス券はワンコインの手軽さもあり、年間614万枚(2015年度)が売れる“ヒット商品”です。その一方で、市バス・地下鉄一日乗車券(1200円)の売れ行きは34万枚(同)と低迷していることから、市は有識者懇話会を発足。第2回目会合(6月30日)に、市バス券を600円か700円にし、「地下鉄への誘導策」として市バス・地下鉄券を1000円か900円に値下げする、4つの組み合わせ案を提示。8月までに残り2回の懇話会を開いて結論を出し、来春から実施する予定です。
市議団は4月、交通局に値上げ方針の撤回を申し入れたのをはじめ、議会で繰り返し方針撤回を要求してきました。
アンケートビラは6月に新聞折り込みし、「市バス事業は13年連続黒字。市バスの混雑緩和というなら、黒字分を活用してバス増便をすべき」「値上げに道理なし」と主張。市民からの意見をファクスで求めました。
現在返信があったのは約140通。数通を除いて、大多数は値上げに反対で、「市民にしわ寄せは勘弁して」「絶対困ります」「市民の足を保障するのが市の役割」などの意見が用紙にびっしりと書き込まれています(別掲)。
市議団は、「反対の世論をさらに大きく広げ、値上げ方針を撤回させよう」と呼びかけています。
寄せられた声「500円で残して」「客離れに」
- 市は「公共交通機関への利用を!!」と呼びかけているのだから、せめて一日乗車券は500円を残すべきだ。京都の街に合った交通網を作ってほしい。
市バス代が高すぎる。唯一の売り人気、一日乗車券の値上げは客離れにつながる。観光のみで成り立っている京都。客が来るのが当然のごとく思い上がり、市にはサービス精神が全くないのが情けない。
市バスは黒字経営だというのに、市バス券の値上げとは納得いきません。京都に住んで良かったといえることを一つくらい残してください。
左京区役所に行くのに必ず乗り換えが必要で、500円だから市バス券を買っていました。それ以上となると外出するのが嫌になります。
現在68歳、敬老乗車証を心待ちにしています。それがもらえるまではと、市バス券をフル活用しています。心も体も健康を生み出す一日乗車券奪わないでください。
中学2年生です。市バス券だと一日でたくさんの所に行けます。そのためにも500円だということが大切です。値上げしたら、私は利用しないと思います。市民の気持ちを市に分からせてください。
公共交通機関の使命に逆行 立命館大学名誉教授(交通政策)土居靖範さん
「市バスの混雑回避」などを理由にバス一日券を値上げするというのは、市の身勝手な発想です。市が、「国際観光都市」を掲げるのなら、検討すべき課題は公共交通最優先策の導入や公共交通運賃の値下げです。具体策としては、バス走行を最優先する道路環境の抜本的改善やバスと鉄道との連携強化です。市バス・地下鉄一日乗車券の大幅値下げも必要でしょう。ヨーロッパの多くの都市では、バス、鉄道、路面面車など都市内の公共交通機関は「共通運賃制度」を採用しています。ゾーン分けされた区域内で、一定時間内は定額運賃ですべての公共交通機関を自由に乗り降りができる制度が普及し極めて便利です。
「歩くまち京都」には気軽に乗り降りでき、5~10分間隔のバスや新型路面電車がふさわしいと考えます。まちなかのエレベータ・エスカレータ感覚で公共交通が気軽で、安価に利用できる交通施策の展開が今、京都市に求められています。
(「京都民報」2017年7月23日付けより)