京都市の自衛隊への名簿提供/背景に安倍9条改憲
安倍首相は、憲法9条に第3項を加筆して自衛隊を明記する改憲を提起し、これへの批判に対して、9条1項(戦争放棄)・2項(戦力不保持)は残るのだから、「これまでと変わりない」と答弁してきました。
ところが、さる1月30日の国会で、「自衛隊員募集に非協力的な自治体」の対応を変えさせることが9条改憲の重要な目的であると語り、「命を賭して任務を遂行する隊員の正当性を明文化することは国防の根幹に関わる」と述べました(別掲「しんぶん赤旗」2月4日付)。
この答弁によって、この問題を巡るこの間の京都市のかたくなな姿勢の背景がわかりました。京都市議会では、これまで自民党や維新の会が、市に対して積極的に自衛隊員募集に協力せよと強く求めてきました。市はこれに応えて、18歳と22歳の若者名簿をタックシールにして自衛隊に提供しようとしているのです。これに市民グループが抗議し、当事者の若者も「私の個人情報を勝手に使うな」と市に申し入れています。日本共産党も、この間市議会でくり返し取り上げ、中止を求めてきました。ところが、追及されてまともな回答が出きなくなっているのに、京都市は頑としてこの方針を変えようとしません。
多くの自治体が自衛隊員募集に何らかの協力をしていますが、どんな協力をするかはそれぞれの自治体の裁量です。現に紙媒体で名簿提供をしているのは35%の自治体であり、タックシールにまでして提供しようとしているのは4自治体だけです。京都市の異常さは突出しています。安倍首相が自民党大会で「6割の自治体が協力を拒否している」と述べたのは、紙ないしタックシールで全名簿を提供していない自治体を指したものと思われます。
秘密保護法、集団的自衛権行使容認の閣議決定、自衛隊の海外での武力行使に道を開いた安保法制(戦争法)、共謀罪法と、安倍政権は着々と「戦争する国づくり」を進めてきました。「オール与党」門川市政がこれを忖度して名簿提供を強行しようとしているという構図が浮かびあがりました。「命を賭して任務を遂行する」、すなわち、海外で戦争に参加して死ぬ覚悟ができる兵隊確保のために、自治体の協力が不可欠というのです。
国政でも京都市政でも自公と維新による「戦争する国づくり」と対決し、平和を願う市民と協力してたたかう日本共産党を、統一地方選挙でも参議院選挙でも伸ばしていただくことの重要性が、ますます浮き彫りになってきました。