あらためて、共闘に背を向ける前原発言を批判する
あらためて、共闘に背を向ける前原発言を批判する
先に、8月17日付の本欄で、共産党との野党共闘を拒否した前原誠司氏の発言を批判した。前原氏は、その発言で、次のようにも述べている。
「憲法観、自衛隊、天皇制、日米安保、あるいは消費税といった内政のみならず、外交・安全保障の考え方が全く違う政党と協力する野党共闘にくみすることはできない」。
確かに、日本共産党と前原氏とでは、「外交・安全保障の違い」が大きい。
しかし、「安保法制(戦争法)廃止」「野党は共闘」の国民的世論と運動に背中を押され、野党が「外交・安全保障の違い」を乗り越えて、「安保法制廃止」「立憲主義回復」で一致し、「市民と野党の共闘」が出発した。これは、換言すれば、「日本の外交・安全保障を安保法制以前に戻す」という共闘だった。
昨年の参院選では、市民連合と、国民民主党も含む5野党・会派の「共通政策」において、「安保法制、共謀罪法など安倍政権が成立させた立憲主義に反する諸法律の廃止」にとどまらず、「膨張する防衛予算、防衛装備」を「憲法9条の理念に照らして精査する」とともに、「沖縄県名護市辺野古における新基地建設を直ちに中止し、環境の回復を行うこと。さらに、普天間基地の早期返還を実現し、撤去を進めること」「日米地位協定を改定し、沖縄県民の人権を守る」などで合意している。
「外交・安全保障の違い」があっても、野党はここまで一致できた。野党が政権をとってこの「共通政策」が実現すれば、日本の政治は大きく変わる。要は、前原氏は、このことに反対しているのである。
この「共通政策」は、共産党が勝手に押しつけたものでも何でもなく、市民連合と各野党が協議して合意したものであり、その背景には、安倍暴走政権を何とか変えたいという国民の切なる願いと運動がある。政治を動かす主体は、主権者国民である。その国民の要求や意見、動向をどれだけ的確、機敏にキャッチし、自らの政策に反映できるか?野党には、そのことが、鋭く問われている。先の通常国会では、各野党がそのことを成し得たからこそ、国会の議席では少数であっても、「検察庁法改悪」を阻止することができた。
前原氏が、この期に及んで「外交・安全保障の違い」を理由に共産党をふくむ野党共闘を否定したことは、安倍政治の転換を切望する主権者国民に、背を向けるものである。前原氏の行動が、2017年に自らが主導した、民進党の希望の党への合流という共闘への「大逆流」と同様、破たんすることは必至だろう。
2020年8月25日 府委員長 渡辺和俊